高山:いずれにせよ、せっかくの中国からの情報提供について、一部のPM2.5報道にみられるような「今度はインフルか、まったくはた迷惑な話だ」と低レベルな反応を返すのではなく、「よくぞ迅速に情報公開した」と謝意を伝える姿勢が日本人には必要ではないでしょうか。
QLife:それは本当に仰る通りだと思います。
高山:また、この感染症への不安にかられて、むやみに中国人観光客を忌避するようなことがあってはなりません。これは胸襟を開きかけた中国に泥をすりこむ行為です。最悪の場合、今後、日本だけが情報をもらえないということにもなりかねません。
今回、ウイルスのゲノム配列を世界に先駆けて日本が現地からもらえたことは極めて貴重なことなんです。確定診断のためのPCRプライマーを世界に先駆け開発でき、抗インフルエンザ薬の耐性遺伝子の有無も真っ先に確認でき、そして世界でもっとも早い段階でパンデミックワクチンの開発準備が始められるわけですから。こういう水面下の情報交換/協力関係というのが極めて大切です。
QLife:いま医療関係者はどう認識し、対処すべきだと思いますか。
高山:まずは心配する一般の方に対しては、「いまのところ具体的な対策をとる必要はありません」とお伝えいただくことでしょうね。さきほど申し上げましたが、中国からの旅行者についてもこれまでと同様にもてなしていただくこともです。